椎骨動脈解離で手術を選択した話【入院・造影検査編・2日目】

午前中予定だった検査が午後になったため、朝食は半分だけ食べることができました。

意外と臨機応変に対応してくれて嬉しかったです。

もちろんそのかわりに昼食は無しになりました。

ほぼ初体験の点滴

検査のときに必要な薬剤が微量に入っているのか、ただの脱水を防ぐためかわかりませんが点滴の入り口を左手の手首付近につけました。

強い痛みがある訳ではありませんが、翌日この点滴が外れるまでは少し気になるくらいの痛みがあってストレスでした。

手の向きによって痛みが強くなったりするので寝る時も気になってしまいました。

また、検査後になりますが点滴のラインの中に気泡が入ってしまっているのを見て「血管に空気を注射すると死ぬ」というどこで仕入れたかも確かではない知識が頭をよぎりとても不安になりました。

スマホで調べたところ、相当量の空気が入らなければ大丈夫だということで、一応看護師さんにも確認したところ、少しなら全然問題ないとのことで知識をリバイスすることができました。

14時・T字帯

お腹が減って減って仕方がないなぁと感じた14時頃ついにお呼びが。

T字帯という包帯生地で作ったフンドシのようなものをつけて手術着に着替えて手術室に向かいます。

慣れている人にとってはT字帯は日常アイテムだと思いますが、僕にとっては初見でした。つけかたももちろんスマホで調べました。

3階にある手術室までは点滴を引きずりながら徒歩で向かいます。

よくテレビドラマなんかで目にするような手術室の入口を入ると、中はとても煩雑で人も多かったです。

手術室は個室というよりも、手前側が開けていてまるでTV局のスタジオのようでした。

入院棟の看護師さんから手術チームの看護師さんに引き継がれ、手術台に自分であがります。

ここからはまさしくまな板の鯉です。

ものすごい手際の良さで身体中に色々なセンサーをつけたり、消毒されたりされます。

全身麻酔ではないので喋れますし受け答えもできるので、どれくらいのテンションで望めばいいのか悩みました。

造影剤検査

カテーテルを入れるのは右の鼠径部でした。

その付近を先生が手で押さえるのですが、それが痛い痛い。

もともと圧迫には弱く、エコー検査の機械をお腹に押し当てられるのも遠慮したい感じで、ちょっと掴まれたりするだけでも痛いのに、身体の内側を強めに圧迫されたので、この時点で痛いと騒ぎたくなりました。

「麻酔しますね~。ちょっとチクッとしますよ~」

はい。何も感じません。

鼠径部をおさえてる先生の指の方が100倍痛いです。

歯医者の麻酔と同じくらいの時間を待ったあと施術がはじまります。

先生がカテーテルの管を想像の10倍くらいの速さで入れていき、数分もしないうちにポイントに辿り着き造影剤らしきものを流し込みます。

何かを何単位か入れている様子ですが、詳しくはわかりません。少し粘度のある薬剤なのかカテーテルの入口付近で容器をトントントンとしているのがわかります。

ここからの順番は正確ではありませんが、頭の右前、左前、右後ろ、左後ろの4箇所(方向)の血管に造影剤を流して撮影したそうです。

造影剤が違うのか、撮る場所が違うのか、撮り方が違うのかわかりませんが、撮影時に色々な体験をしました。

まずは血管がかーーーっと熱くなる感じがして、頭の血管がどういう経路になっているかハッキリわかるような体験をしました。ルフィがギアセカンドを使った時のような感じです。

次は突然意識を断ち切られ、万華鏡の世界に一瞬トリップした感じがありました。先生曰く、その撮影が山場だったようです。イタチの万華鏡写輪眼による幻術をかけられたみたいでした。

それと前後して閃輝暗点がハッキリと見えるように。嘘のようにハッキリ見えました。閃輝暗点については画像検索をしてみてください。

もともと偏頭痛持ちではありましたが閃輝暗点のようなものは見たことがなく「あぁこれが閃輝暗点なのかぁ」と妙な感動がありました。

ただ、閃輝暗点を見た後は確実に強い頭痛が待っているということだったので不安もありました。

そして最後にもう1個、頸動脈を圧迫しての撮影がありました。

看護師さんがそれはそれは強い力で頸動脈を圧迫します。

死ぬかと思いました。

右と左で2回やるので、2回死ぬかと思いました。しかも左は1回失敗したみたいでやり直したので、合計で3回死ぬかと思いました。

手術台に寝てから撮影が終わるまでは20分程でしょうか。もっと短かったかもしれません。

一通りの撮影が終わるとカテーテルの管を抜いたり各種センサーを外しての事後処理となります。

動脈に穴を空けたので、一番大事なのは止血らしいです。

先生がものすごい力で内腿を両手で圧迫します。

痛い痛い痛い痛い!

施術が始まってからこの時が一番つらかったです。

なんなら先生も一番大変そうです。止血がはじまるまでの10分間ほど力を加えたままじっとしています。

お互い暇なので先生に止血の大切さと仕組みを聞きました。この止血が失敗すると動脈瘤が出来てしまい、それが破裂したり処置が遅れたりすると大変なことになるそうです。

具体的には足の切断が必要になったり、切断で済めばまだよく、場合によっては命の危険もあると脅されました。

止血の仕組みについては圧迫していると止血因子が集まってきて~というのをなんとなく教えてくれました。

たぶん、はたらく細胞の血小板ちゃんがわかりやすい気がします。

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はたらく細胞 血小板特集

地獄の10分が過ぎたら同じ箇所に1kgの重しを置いてテーピングでがっちりと固定します。

ここから4時間程度安静とのこと。

手術台から病棟へ帰るためのストレッチャーへ移るのですが、看護師さんたちが6人くらい集まって「せーの、いち、に、さん!」でシーツごと持ちあげてくれました。

ついつい「ドラマとかで観るやつだ」と言ってしまいました。

処置自体はすべて終わったのでこの時点で一旦は一安心という感じでした。

病棟から担当の看護師さんが迎えにきてくれるのをストレッチャーの上でボーっと待ちます。少し時間がかかっていたので、保育園でお母さんが迎えにくるのを待ってる子供のような気持になりました。

病棟に戻ると今度は4人の女性看護師さんだけでベッドに移してくれました。重くてごめんなさい…m(__)m

ここから4時間は絶対安静。トイレに行きたくなっても尿瓶になるのでなるべく我慢しきりたいところです。

尿意と戦う4時間

ベッドに戻ってLINEで無事の連絡をするなどしているうちに最初の絶対安静の1時間は過ぎました。

もう1時間程うとうとしていれば重しが外れ、多少の姿勢変更が可能になります。

いつもよりも圧倒的に早起きなので眠れるかと思いましたが、姿勢を変えず、かつ右鼠径部と点滴箇所のわずかな痛みが邪魔をしてなかなか眠れませんでした。

そうこうしているうちに先生がやってきて止血の様子を見て問題ないことを確認して、テーピングを外してくれます。

痛い痛い痛い痛い!

前言撤回です。瞬間的な痛さはこの時が一番痛かったかもしれません。

痛みは皆さんが想像する通りです。毛が多い脛などにガムテープを貼って一気に剥がすあの痛さです。

学生時代によくテーピングをして剥がすことはあったので、このての痛みには慣れているつもりでしたが、股間節まわり…太ももまわりは未経験でした。

先生も「これが一番つらいという患者さんも多いです」と笑いながら言ってましたが、僕もそこに一票を投じたいです。

重しやテーピング外れて、あと2時間。

動かせてしまう状態になり、むしろ動かないでいるのが少しツラくなってきました。

大きな痛みとか不調はありませんが、少し遠くの方に尿意を感じています。

早目に看護師さんに言って解放されるか、ギリギリまで我慢するか悩んでいると夕食が運ばれてきました。

昼食は無しだったのでありがたくいただきました。

しかし、食べれば出そうとするのが人間の性。

あと1時間。

我慢できなくはなさそうなものの、急に歩けるのか?点滴はついたままだし苦戦しないか?粗相するくらいなら尿瓶にした方がいいのではないか?ギリギリまで我慢して結局尿瓶にするくらいなら今のうちにしてしまった方が楽になれるなぁなどと考えていました。

血圧と体温を計りにきた看護師さんに「変わりはないか?」と聞かれたので「トイレがあと1時間我慢できるかどうか微妙なところです」と返答したところ「じゃあとりあえず尿瓶セット持ってきておきますね。我慢できればトイレで出来なそうであれば尿瓶にすればいいので」と素晴らしい提案が。

結果を言えばトイレは我慢できました。

歩行が許可されて制限は何もなくなりましたが、止血失敗による恐怖が頭を離れずにいるので(これはこの文章を書いている今も残っています)、なるべく動かずに夜を過ごしました。

遅延性のリスクは残っているものの、検査におけるリスクはほぼほぼクリアしたので安心して床につきました。

まぁ、全然眠れませんでしたが。

診察と退院と

退院日は朝からMRIを撮って診察をして終わりという予定でしたがMRIが混んでいて、11時半には終わる予定が、MRIが12時頃スタートとなり診察が午後にずれこみました。

造影剤検査の結果、思ったよりも動脈瘤が小さく治癒傾向にあり…という感じであれば良かったのですが、結果は変わらず。

むしろ発症から半年が経った今もハッキリ残っていて、形もややブレていて、直近1ヶ月で大きさの変化があるように見えるとのことでした。

結果、手術は免れないという決断になり、手術日を決定してもらいました。

手術日はこの日から一ヶ月半後の2022年10月4日と決まり、それまでに術前準備として2回程通院することとなりました。


椎骨動脈解離で手術を選択した話【術前検査通院編】に続く⇒

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